※ この記事は「読書レビュー:「プロが教えるアイデア練習帳」を読んだ5つの感想」をリライトしたものです。
アイデアを量産するのは骨が折れますが、この本は
広告代理店のアイデアのプロの方法を、普通に使えるようにしたものを紹介している
しています。
著者は博報堂でキャリアを積み、MBA を取得して現在はコンサルティングをしている人です。
早速ですが、この本を読んでの感想をまとめてしまうと
- 良いアイデアは「着眼点」と「切り口」からなる
- 着眼点を複数見つけることで、発想が広がっていく
ということになります。
良いアイデアは「着眼点」と「切り口」からなる
上にも書きましたか、この本は広告代理店の発想方法を、通称の問題解決の発想に還元しているものです。
- アイデアは複数の着眼点と複数の切り口からなる
- プロは着眼点を複数用意する
- 発想用ワークシートをつかう
アイデアの成り立ち
著者は
良いアイデアは「着眼点」と「切り口」からなる
といいます。これが本書の一貫したメッセージです。このとき、
- 「着眼点」とは「目のつけどころ」
- 「切り口」とは「方法・アイデア」
のようです。
たくさんの着眼点がスタート地点
著者は広告代理店時代、上司から以下のことを学んだそうです。
- 一般人や新人にアイデア出しをやらせると、同じようなアイデアばかりになってしまう
- これは「着眼点」が1つしかないためで、発想が固定されてしまっているから
- プロは「着眼点」を複数にすることで、発想を広げる
着眼点とは上に書いたとおり「目のつけどころ」です。車なら
「スタイルがいい」「エンジン性能がいい」「快適な居住空間」など
りんごなら
「甘い」「赤い」「感触がいい」など
着眼点が少ないと、いくらアイデアを出しても似たりよったりになってしまう。
着眼点が複数あれば、数はすくなくとも多様なアイデアがでてくる、ということです。
アイデアブリーフというワークシート
これを項目ごとに紙に書いてまとめたワークシートを、本書ではアイデアブリーフと読んでいます。
- 課題
- 着眼点 A
- 切り口 A – 1
- 切り口 A – 2
- 切り口 A – 3
- 着眼点 B
- 切り口 B – 1
- 切り口 B – 2
- 切り口 B – 3
- ……
広告のプロは以下のようにアイデアを出すそうです。
- 着眼点を複数用意して
- そこから広告の方向性を決め、
- 売り込み文言を考える
なんとなく論理的です。
これを実生活の問題解決に使えるようにするには、以下のようにするそうです。
- 「着眼点」を探すときは、「誰に」「どんな気持ちに応える」を考える
- 「切り口」は、おのおのの着眼点から、複数の解決案を考える
広告代理店では、もっと多い項目を埋めていくワークシートを使っており、それをシンプルにしたようです。
例:ドタキャンに経営を圧迫される街の床屋さん
この本は具体例が20個ほど紹介されているので、その具体的なケースを通して、考え方を理解することができます。
- 街の床屋さんのトラブルを解決した例を解説している
- 街の床屋さんは度重なるドタキャンに困っている
- ぞれに対し、広告代理店的発想による解決策を提示している
街の床屋さん、ドタキャン対策に悩む
この床屋さんの悩みはこうです。
突然のキャンセルが絶えないこと
すでに予約がある時間帯は収入がゼロになってしまう
対策を順当に考えると
- 予約の際に、キャンセル料の発生を告げる
- 前日にリマインドの電話をかける
- ドタキャンのお客様にはキャン猿料を請求する
ですが、これらの対策をやっちゃうと、別の悩みが発生する可能性があります。
- 手間がかかる
- 悪い印象を残す
- そういうやり取りにストレスを感じる
これらを解決する方法を考えます。
アイデアブリーフの例
この店の主な顧客は、以下のように考えられます。
- 地元に住む定年後のシニア男性
- 大抵、周りから「そろそろ髪を切ったら?」と言われてくる
- 予約をして行くつもりだったら忘れていた
- 本音は思い立ったらすぐ散髪したい、
これをアイデアブリーフにするとこうなります。
着眼点はこんな感じになります。
誰の (に):
「周りに言われてしかたなく散髪するシニア男性」
どんな気持ちに応える:
「思い立ったらすぐ散髪したい」
すると、こんなアイデアが浮かんでくる
- 電話予約システムを撤廃する
- ファミレスのように、先着順に来面するボードを店前に設置
- 病院のように、現在何人待ちか確認できる自動音声システム
もちろん着眼点が複数あれば、もっとアイデアが出てくるはずです。
またアイデアのどれを選択するかは KT法の決定分析 (DA) を使えばいいですね。
着眼点の見つけ方
着眼点を見つけるのはけっこう大変です。
この本では4つ方法を出してます。
- 顧客の行動を観察し、心理を予測する方法
- 観察ナシで、顧客の心理を予測する
- 本来の使い方とは別の使い方から考える
- 異分野のライバルから発想する
この辺は、特に際立った方法はありませんでしたが、要は「視点を換える」という点に対し、アイデアを量産するために具体化したもの、という意味合いかと思いました。
「仮想思考」や「論点思考」に出てくる「論点をワンランク上げる」考えに近いと思います。
例:異分野のライバルとは
最後の「異分野のライバルから発想する」はわかりにくいですが、私はよく使います。
要は
似ているけど違うもの
ですね。本に具体例がありましたので紹介します。
「お題」は
インターネットの普及により視聴率が落ちてきたテレビ番組。
あなたなら、どのようなアイデアで若者の視聴率を高めますか?
調査の結果、テレビを観なくなった若者はインターネットに流れたわけではなく、実際には居酒屋に流れていたことがわかりました。
実際はライバルは居酒屋だったということです。
ですので、その若者を取り込むための発想を、
という流れです。
アイデアブリーフはこうなります。
誰の(に):居酒屋でワイワイ盛り上がっていく若者
どんな気持ちに応える:自分も参加しているような感覚になる
- 居酒屋の人気メニュートップ10を当てるまで帰れない
- 唐揚げが最もうまい居酒屋対決
- 居酒屋のシェフが本気で作る豪華フレンチ
結果として、上の切り口の番組が複数作られた、ということです。