論理的思考って、調査ばっかりでまったく先に進まない。
解決案もいつまでたっても出てこない。
論理的思考やクリティカルシンキングというのは、そういうものと感じている方もいるかと思います。
ですが、仮説思考と論点思考は違います。
仮説思考と論点思考は検証しながら調査をすすめていく、作業途中でも進捗がわかりやすく、問題解決もスピーディーです。
今回は仮説思考と論点思考について、解説します。
仮説思考・論点思考とは
仮説思考と論点思考は、ボストン・コンサルティング・グループ(通称 BCG)という世界的なコンサルティングファームの日本代表を務めていた内田和成さんという方が著書で紹介されたのが最初だと思います。
仮説思考とは
仮説をたてて効果を検証していき、正解にたどりつく論理的手法です。
● 参考図書:「仮説思考―BCG流 問題発見・解決の発想法 内田和成の思考」
論点思考とは
解決すべき論点(問題)を見直し、発想の幅を広げていく思考方法です。
最近は「ドクターストーン」などの影響もあり、かなり一般的になっていますね。
「マンガでわかる!シリーズ」には両方の解説がのっています。
従来の問題解決・意思決定プロセスのデメリット
従来の方法には、いくつかの問題点かあります。
- 調査に時間がかかり、周りからは何も進んでいないように見える
- 十分に調査・検証ができずに時間切れになることか多い
- 調査結果を出しても、鶴の一声で意思決定がされる
通常は問題解決をするときは調査分析をすることから始まります。
ところがいつまでたっても調査が終わらない、ということが発生します。
どこまで情報を集めれば十分なのか、だれも知らないからです。
結局、全てを十分な調査をすることができず、なんとなく終わってしまいます。
>>> 仮説思考を採用すると、時間切れということはほとんどなくなります。
意思決定のときはどうでしょう?
十分議論をしましたが、なかなか決定打となる案が決まりません。
そんなときはほぼ9割の確率で鶴の一声で意思決定されます。
調査の意味がなくなり、がっかりした経験は皆さんもあるのではないでしょうか?
>>> 仮説思考を採用すると、検証結果はすでに出ているため に意思決定もスムーズに進みます。
仮説思考のメリット
仮説思考はひたすら仮説を立てて検証を繰り返す問題解決手法です。
人は十分調査をしてから解決案を出して検証する(網羅思考)方法をとりがちです。
ですが、仮説思考は網羅思考に比べて効率よく問題解決ができます。
- 網羅思考より時間がかからない
- 仮説と検証の繰り返しなので、やりがいがあり、精神的に疲れない
- 失敗しても、進んでいる実感がある
- 検証済みの案を採用することになるので、採用に反対が出にくい
仮説思考をつかった問題解決のやり方
仮説思考による問題解決の方法を解説していきます。
仮説思考のやり方で血糖値を下げた例
適当な例かはわかりませんが、仮説思考で原因を特定して血糖値を下げた経験をお話します。
私は糖尿病のため、普段から糖質制限をしてます。
ある日測ったところ、血糖値はかなり高い数値になってしまっていました。
1.最初の仮説を立てて、検証する
原因を調べて元の値に戻さないといけません。
私は食生活を見直し、下記が原因なのではないかと、仮説を立てました。
- 朝食のトーストのせい
- 間食にパンの回数が増えたから
①と②をやめてみました。
しかし、1ヶ月後に血糖値を測ったところ、あまり下がってませんでした。
2.次の仮説をたて、検証する
なので他に原因になるものがないか探したところ、もう一つ
③朝食のオレンジジュース
が原因かもと思いたち、これもやめてみました。
- 朝食のトーストのせい(ハズレ)
- 間食にパンの回数が増えたから(ハズレ)
- 朝食のオレンジジュースのせい (追加)
それから1ヶ月後の血糖値は下がってました。
結局の所、オレンジジュースが血糖値を上げていたのです。
その後は特に上がることもなく、一定した値をキープできてます。
とにかくはじめること
身近な例を書いたわけですが研究開発職はこれを日々繰り返しいます。
やってみたい方はとりあえず、身近なところから何でもいいからはじめましょう。
- 目的をきめます。
- アイデアや解決策をリストします。
- ひとつ、やってみます。
- もしだめなら他の方法を試します。
これを繰り返していけば、仮説の質も上がり解決にどんどん近づいていきます。
また仮説思考スキルを向上することでしょう。
論点思考のやり方とメリット
もうひとつの論点思考は、解決すべき論点(問題)自体を見直していく思考方法です。
- 適当な解決案が見当たらないとき、今の問題の捉え方を誤解している可能性がある
- 論点を変えることで、問題の捉え方を見直す
- 論点を変えることでリミッターが外れ、発想が広がる
解決案がみつからない
仮説思考に限らず、問題解決をやっていくうちに、壁にぶち当たります。
いろいろな仮説を検証したけれど、適当な解決策がない
暗礁に乗り上げる、という感じです。
よくある話です。
仮説(原因とその対応策)がどれも上手く行かないのは、問題自体の捉え方が間違っている可能性があります。
そんなときは問題自体を今一度、検討しなおすのが得策です。
論点思考のメリット
解決案に行き詰まったとき、問題自体の捉え方を見直します。
前提や目的を見直すことで、
思考のリミッターを外すことができます。
- 無意識に設定していたリミッターを認識できる
- 限界と思っていた、その外側に思考を拡大することができる
- 結果的に良い発想が生まれる
論点思考のやり方
論点思考のやり方と例を出します。
- 論点や今までのアイデアを構造化して、大元の論点がわかるようにします
- 大元の論点の、更に上の論点(視点)がないか検討します。
- 上位の論点が見つかったら、そこからアイデアを出していきます。
基本的に今までの調査や議論の外側にあらたに論点が設定されることになります。
例を示します。
記事を書くときはアイデア出しをします。
今回のしたのですが、「仮説思考に関連して書きたいこと」があまりにも多く、まとまりがつかなくなってしまいました。
なので論点を構造化しました。
①「仮説思考のブログを書く」の下に「アイデア出し」をおきます
実際はもっとありましたが、例です。
仮説思考のブログを書くことの目的は、「論理的思考のブログを書く」ことです。
それを上位に持ってきます。
② 「仮説思考のブログを書く」より大きな括りで論点をおきます
論点が1つ大きくなりました。
論理的思考という論点を上位に持ってくることで、「仮説思考」にこだわっていたことに気がつきました。
思考が広がり、その並びの論点にアイデアが浮かびます。
仮説思考にこだわらず、論理思考の単純な紹介でいいのではないかと思いました。
③ 並びを追加し、その下も追加して構成がまとまりました
論理的思考のブログを単純な紹介と決めたところ、アイデアの整理がつきました。
これで今回は仮説思考の概略と具体例に内容が決まりました。
こんな形で論点を大きくしたことで、別の論点が浮かび、仮説・検証が可能となっていきます。
まとめ:論点のレベルを上げることで、まったく違ったアイデアが湧く
例で示したように論点を拡大させることで、アイデアや仮説がでてくることがあります。
新しい仮説が出たら、また検証をします。
こんな感じで
これが仮説思考と論点思考の問題解決の方法となります。