景気の推移を観測して、
長期投資や米国株投資の投資方針を決めるやり方を紹介します。
この記事で紹介する方法は、
主に長期投資家の方がやっている方法です。
米国債長期金利と短期金利をグラフ化し、
その差の推移から景気動向を見ていく手法です。
この記事の内容
- 世界経済に影響があるアメリカの景気をモニターする方法を紹介します
- 景気局面を判断し、ポートフォリオの割合を局面に合わせて変更する手法を紹介します
- これにより、損失を減らし利益を伸ばすことができるようになります。
長期投資家は米国債金利の差異で景気を予測する

景気と金利は密接な関連性があります。
景気は基本的に、
①景気回復 → ②金利上昇 → ③景気後退 → ④金利低下 → ①景気回復・・・
という感じで繰り返していきます。
これを景気循環、景気サイクルといいます。
景気の流れを季節になぞらえ、「景気の四季」と呼ばれたりもします。
ですので
金利の推移を見ていくことで、
景気変動を予測することが出来ます。
ここで紹介する方法は
米国債の10年物金利と2年物金利を比較する方法
になります。
米国債の金利の推移で
景気を判断するというのは一般的に広く行われています。
その具体的な方法について、解説します。
長期投資家がおこなう長期と短期の国債金利のモニタリング

長期投資家は
自分でデータを取得し、
Excel やスプレッドシートに記録して、分析しています。
インターネットから、
米国長期国債(10年)と2年国債の金利データを拾って来ることが出来ます。
私は investing.com の下記のページからとってきて、グラフを作成してます。
Government Bonds (Investing.com)
US10Y と US2Y で Monthly でデータ (historical data) を取得しています。
- US10Y historical data(10年国債金利)
- US2Y historical data(2年国債金利)
米国長期国債(10年)と2年国債をグラフにしていく
上記のデータを取得してグラフ化し、景気の局面を判断する材料にします。
たとえば
下のグラフは10年金利と2年金利、
および両者の差をグラフにしたものです。

このグラフから
- 長期金利の推移
- 短期金利の推移
- 金利差の推移
の3つを読み取り、
景気の移り変わりを予測していきます。
グラフにすれば、なんとなく
「今長期金利も短期金利も上がってるけど差はかわってないから、景気はあがってるのかな~」
とか
「両方とも下がってきてて、差も縮まってきてるから不景気だな~」
という感じで判断します。(判断基準は後述)
注意する点はこれは日本ではなく、
アメリカの景気
だと言うことです。
日本の景気はアメリカの数年遅れで来ると言われています。
その目安として使います。
景気の判断基準について
上のグラフをみて、なにをどう判断するか。
それは基本的につぎのようになります。
金利のうごき | 金利の差 | 景気局面 |
---|---|---|
短期金利 → 上昇 長期金利 → 上昇 | 拡大 | 春 (景気の回復) |
縮小 | 夏 (景気の加熱) | |
短期金利 → 下落 長期金利 → 下落 | 縮小 | 秋 (景気の縮小) |
拡大 | 冬 (景気の後退) |
基本的に
短期金利は敏感に反応し、
長期金利は少し遅れて反応します。
それをまとめたのが、上の表です。
これらを意識してポートフォリオを変更したり、保有株の量を調節したりします。
次に、具体的にどう振り分けたらいいのか、解説していきます。
長期投資家がとるべき資産の振り分け方

通常、景気を見ながら株式と債券について、
- 景気が良いときはリスクをとって国内株式や外国株式を多めにしたり、
- 景気が悪いときは国内債券や外国債券の割合を増やしたり、
などをすることは多いと思います。
これを先回りしてやれれば、精神的負担も軽くなります。
ここでは、以下の資産でポートフォリオを組んでいる例として解説します。
- 国内株式(日経インデックス)
- 外国株式(S&P500、MSCI指数など)
- 国内債券(国内債券インデックス)
- 外国債券(外国債券インデックス)
- オルタナティブ(金投資、JREIT 投資など)
景気の局面ごとに下のように資産を振り分けます。
春 (景気の回復期) と判断されたとき

景気回復の兆しが見えるために金利が上昇しますが、
長期金利のほうが速度が速いため、金利差が拡大していきます。
このときは外国株式、国内株式を購入していくなど、積極的にリスクを取ります。
夏 (景気の過熱期) と判断されたとき

景気が良くなっているために金利が上昇しますが、
市場が過熱気味に成っているため、金利差が狭まっていきます。
あまりリスクは取らず、株式とオルタナティブ投資をしていくプランか考えられます。
秋 (景気の縮小期) と判断されたとき

景気後退が感じられるために金利が低下し始めます。
長期金利のほうが速度が早いので、金利差が縮小していきます。
債券とオルタナティブ投資をしていくプランが考えられます。
冬 (景気の後退期) と判断されたとき

不景気に突入です。金利が低下し、金利差が拡大していきます。
債券に投資していくプランが考えられます。
長期投資家のリスクヘッジは、暗号通貨や VIX (恐怖指数)で

最近は株式と債券は
同じような動きしています。
債券を株式の反対の動きをするという考えは、通用しなくなってきているのかもしれません。
個人的な話ですが、
私は債券はやめてしまいました。株式と暗号資産でやっています。
その代わりとして、
暗号通貨や VIX が反対の動きをすることがあります。
とくに VIX(恐怖指数)は不安材料があると急激に上昇しますので、
私は一時期短期でトレードをしていました。
VIX指数の投資は、不安材料が少ないときに仕込んておき、紛争などが発生して急上昇したときに売って、沈静化したらまた、仕込んていく、
というやり方で、長期投資の中に短期トレードの要素が入ります。
トレードに興味がある人は、やってみるのもおすすめです。最初は少額から始めましょう。
参考にした書籍
この記事で紹介した手法は下記の本を参考にしています。

世界第3位のヘッジファンドマネージャーに 日本の庶民でもできるお金の増やし方を訊いてみた。
筆者の塚口氏は
ロシアを拠点として活動されている
世界的なファンドマネージャーです。
彼が景気の動向に合わせた投資の仕方について、
上の本で紹介してくれています。
もっと詳細に知りたいときは上の本を読むことをおすすめします。